2008年3月26日水曜日

ケシではなくバラの花を

春ですねー。ジョイセフのオフィスの前のお堀の桜も五分咲きです。週末の代々木公園での花見が楽しみだなー♪日本に住む私たちにとって、桜って特別な花ですよね。卒業とか、入学とか、就職とかいろいろなことを思い出しますね。


アフガニスタンの人たちにとって特別な花は何でしょう。
それはバラの花なんだそうです。アフガニスタンはバラの自生地で、1970年代にはバラの油を輸出していました。人々はバラを愛し、家の前に植えていました。今でもバラはアフガニスタンで最も人気のある花のひとつです。赤いバラは愛する人に、黄色いバラは別れを告げる時に、捧げるんだそうです。(*^^*)


ジョイセフが2002年から母子保健を支援しているナンガハール州の農村は、前回のブログに書いたように、多くの女性や赤ちゃんが亡くなっていますが、母子の栄養改善のために、内戦の終わった乾いた土地を耕し野菜や果物を栽培することも支援しています


「おいしいザクロがなりました」「カボチャも大きく育ちました」そんな報告が届いていた2005年のある日、「バラを育てたいんだ」突然現地のNGOのババックさんから要望が届きました。
「どうしてバラなの?お金になるのかな?」そんな私の疑問に、ババックさんは「バラはアフガン人にとっての心の花なんだ。」と言うのです。換金することを考えた私って、心が乾いてるなーと反省です。(^^;

ババックの家族(奥様は残念ながら写っていません)


翌年にはトップの写真のような美しいバラの写真が何枚も送られてきました。ババックさんは嬉しそうに「バラ園ができたら、真っ先に妻を連れていくよ」と言っています。もちろん赤をたくさん植えたのだとか。



23年に渡る内戦で破壊され、ソ連軍が残した地雷が多く埋まるこの土地は、耕すのだって大変です。内戦が終わっても、干ばつと洪水の繰り返しで、村人たちの苦労は裏切られてきました。荒れた土地でも簡単に育ち、お金になるものは。。。多くの農民がケシ栽培に手を染め、現在ではナンガハール州の全22県中、19県でケシの栽培が確認されています。(※)
ケシ栽培の様子

ケシではなくてバラを。地雷ではなく心の花を。そんな村人の気持ちを一緒に応援し続けたいと思っています。

※アフガニスタンは世界のケシの生産の87パーセントを占め、ケシの栽培で不法に外国に輸出される取引価格はアフガニスタンの国内総生産(GDP)52億ドルの内、61パーセントの27億ドルに相当すると推定されている。

2008年3月11日火曜日

アフガニスタンのお産の話


皆さん初めまして。ワカです。

今日から一か月アフガニスタンについて書きます。


写真のぐるぐる巻きの赤ちゃんはアフガニスタンのジョイセフが支援するナンガハール州のクリニックで生まれた赤ちゃんです。


今日はお産の話です。

ジョイセフが支援しているアフガニスタンの農村地域では、ほとんどの女性が自宅で出産します。出産の際には村に根差す産婆さんが立ち会ってくれます。もちろん超音波の機械なんてありませんから、写真のような聴診器を使います。

(アフガニスタンの農村ではまだまだ女性が肌を見せて写真に写ることはタブーなので、写真にはおなかだけ写っています。)


家族に見守られ幸せなに出産できるはずの女性たちですが、悲しい現実があります。妊娠や出産で母親が死に至るケースが多いのです。その数は日本の330倍。世界で2番目に悪い数字です。


<早い結婚と多産>
アフガニスタンの農村では女の子たちは十分な教育を受けないまま、12~3歳で結婚を始め、出産が始まります。多く産む女性が尊敬されるため子どもを毎年産みます。アフガニスタンでは一人の女性が一生に産む平均子ども数は7.18人です。(日本は2006年に1.26人)




<慣習と迷信>
出産は村の産婆さんが立ち会います。産婆さんたちが信じる妊娠・出産に関わる慣習や迷信の中には母親と赤ちゃんに危険なものが多くあります。


迷信の例
・へその緒を石の上に乗せてナイフで切って赤ちゃんの首に巻くと健康な子が育つ
・分娩中に母体のお腹をお椀で押しせば赤ちゃんが出やすくなる。
・異常出血もかまどの灰や地面の土を塗ると止まる。

その他、出産は他人に見られてはいけない不浄なこととされているため、牛やヤギを飼う家畜小屋で隠れてひっそりと行われます。女性は日常的に他の男性に顔を見せたり肌をさらしたりすることはできないため、母体に危険な状態が生じても、男性の医者が多い病院で容易に診察を受けることさえできません。




そのような状況を少しでも改善するために、ジョイセフの支援により、村にクリニックが建設され、現在女性の医者も勤務しています。母親たちは少しずつ産前の検診を受けにきたり、産後に赤ちゃんの予防接種に来たりするようになりました。


まだまだ自宅で産む女性が多い地域ですので、自宅で出産する際に介助する産婆さんたち正しい知識を知ってもらう研修も行っています。

次回はアフガニスタンのバラのお話です。お楽しみに!