今回、パキスタンに訪問した際には被災地にも訪れる機会がありました。
パキスタン地震は、2005年の10月8日に発生したもので、外務省によれば被害は「死者約73,000人以上、負傷者約80,000人以上、被災民約330万人」にものぼったそうです。
途方もない人数のかたが被災されましたが、この一人一人に家族があり、友人があり、生活があり、夢があったことを思うと、胸がつぶれそうでした。今もまだ多くの人々が家を失ったままで避難生活を続けています。
この女性の自宅は、地震で壊れてしまいました。彼女が立っているのは、家があったところです。現在は、この崩れた家の前にテントらしきものをはって、生活しています。その生活も、牛のミルクを売って生計をたてているとのこと。
今も、様々な国際機関やNGOがパキスタンで震災後の支援を続けているようでしたが、隅々まで充分行き届いているとは言いがたい状況でした。「緊急支援」というのは災害が起こってから数ヶ月くらいで引き上げられてしまうものがほとんどだと思います。でも実は、復興にはかなり長い時間がかかります。神戸の震災でも被災した人たちが家をみつけてプレハブの仮設住宅が完全になくなるまでも、数年かかっていました。
加えて復興には、人間が生きていく上での全ての事柄に支援が必要になります。住宅や水、食べ物、そのほかのライフラインだけではありません。女性はその間も妊娠し、出産します。また、毎月生理だってあるし、そのための生理用品も必要になります。そういったことへの支援は、結構、見落とされがちなのだと思います。でも、パキスタン地震の場合は、UNFPAが被災地に入った最初の機関だったそうで、見落とされがちな女性のニーズにいち早く対応したとのこと。例えば、女性ひとりひとりに、衛生キットを(スカーフ、石鹸、タオル、ガーゼ、など)配付。因みにこのキットには日本からの緊急支援が使われていて、大きな日の丸が入ったキットが21万個配られたと聞いています。また、病院が崩壊したり、元々なかったような場所への巡回医療サービスを提供。大きなバンにお医者さんを乗せて被災地をぐるぐる廻っています。
それから、プレハブの小さな小さなクリニックを造り、そこに女性の医師を派遣することもしています。パキスタンでは、女性は男性の医師に診てもらうことはできません。ですから、妊娠・出産に関しては、女性の産婦人科医でなければなりません。私たちが訪れたクリニックには、地震が起きた次の日から支援のために別の地域から駆けつけたという女性医師が休みなしで働いていました。2人でクリニックのすぐ横に建てられた住宅用プレハブに滞在し、24時間体制をとっているとのことでした。
休みなく、過酷な状況で働いているにも関わらず、笑顔がとても美しい2人の女性たちでした。上の写真のピンクと黄色のスカーフを被っているお二人です。顔は見えませんが、オレンジの服を着ているのは有森さん。
月並みですが、人を想い、使命感をもって頑張っている彼女たちのような人たちがいることに、少し希望が見えました。
4 件のコメント:
震災というのは、どこに怒りをもっていっていいのかわからない、切ないものですね。
日本でも中越はここのところ、大変ですが、なかなか私個人では援助できないものです。
妊産婦も心配ですが、仕事柄やっぱりこどもたちが心配です。親を失ったり、負傷してしまったり・・・
どこにいっても弱いものは損してしまいます。
みほさん、どうもありがとうございました。子どもたちもきっと傷を深く負ってしまっているのだろうな、と思います。私は神戸出身で、12年前の震災で友人を亡くしました。東京で地震にあう度に思い出してしまいます。
避難民キャンプにもよりました。子どもたちは、一見元気にしていましたが、今後どうなっていくのか心配です。
個人での支援は、寄付という形でも可能だと思いますが、「忘れない」ということもひとつかな、と思っています。ナイーブかもしれませんが、誰かの心が自分とともにあると思えるだけで、前に進める気がするので。
UNFPA(国連人口基金)の行動力
ジョイセフはNGOパートナーとして繋がっているのですね。HPで知りました。
確かに目の前の救済も大事ですが、
女性そのものを配慮するのも大事ですね。
「イツモ地震ノート」のような
声って大事に残せたら。
マコさんのお話は凄く沁みました。
pandaさん、ありがとうございました。そうなんです。ジョイセフはNGOとしてUNFPAと一緒に仕事をしています。
国連は多くの場合、対政府で仕事をしています。政府は、ある特定の人への特別扱いはできないので、動きに時間がかかったりします。NGOはその点、小回りがきいたり市井の人々へのアプローチに長けていたりするので、お互い補完できるわけです。
忘れられがちな女性への視点をずっと訴え続けていきたいと思います。
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