2007年12月26日水曜日

タンザニアで出会ったおばあちゃん

(すみません!!!! 前回からかなりの時間がたってしまいました。。。
年末の仕事でかなりバタバタしておりました。申し訳ありません。)

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タンザニアの北西部にあるビクトリア湖に近いマラ県ムソマ郡にあるムキリラ村。
ビクトリア湖と言えば、映画「ダーウィンの悪夢」の舞台となった地です。

一人のおばあちゃんに出会いました。
彼女の名前はアナスタシア・ニャブレゲシさん(73歳)。

女性の平均寿命が44.1歳のタンザニアで、
73歳って言ったら、かなりのご高齢です。

このおばあちゃん、5人のお孫ちゃんを育てています。
この5人のうち、3人はアナスタシアさんの娘さんのお子さん、
2人は息子さんのお子さんです。

なぜこのアナスタシアさんがお孫さんを育てているかというと…
娘さんも息子さんもエイズで亡くなったためです。 9歳、4歳、2歳と3人の息子を残した娘さんは結婚をしていませんでした。
3歳の息子と2歳の娘を残した息子さんは結婚をしていたものの、
彼の妻は出産の際に亡くなったそうです。

自宅で出産をしようとしていた時、大量出血になり、
異常に気づいて、急いでクリニックに運んだのですが、手遅れでした…。

クリニックは10kmも先にあり、歩いたら軽く2時間はかかります。
実際に、タンザニアにおける妊産婦死亡率の大きな原因は「手遅れ」であると
言われています。
アナスタシアさんは、じゃがいもやキャッサバと呼ばれる
タピオカの原料になっているお芋を育てています。
言い換えれば、この岩の多い痩せた土地では、それらの作物しか育たないのです。

週に1回、彼女はバケツ1杯の芋を知人に頼みマーケットへ売りに行ってもらいます。
それを売っても50円~100円。

つまり、彼女の月収は300円にも満たない程度です。
世界の絶対的貧困の基準は1日1ドル以下で生活をしている人のこと。
アナスタシアさんの場合、300円で彼女と5人の孫が生活をしているわけですから、
一人、1か月1ドルにも満たないわけです。

もちろん、彼女たちは、自らが作ったお芋も食べています。
でも、お芋だけでは栄養のバランスが良くないのは明白ですし、
彼女たちが生きていく上で、必要なのは食事だけではありません。
洋服や、靴、その他日用品を購入するためのお金も必要です。

しかし、彼女の収入では、それがいかに難しいかということを
想像するのは難しくありません。

洋服なんて、もってのほかです。
洋服は、必需品の中でも、後回しにされがちなものだからです。
なので、この村の孤児たちは、そのほとんどが、
ボロボロで穴だらけの服、または体に合わない服を着ていました。

そして着替えがないために、服を頻繁に洗うこともままなりません。
でも、汚れた服を着ていることで、皮膚病になったり、
汚れた服を着たお母さんの母乳を飲んだ赤ちゃんが、
下痢になってしまうことも少なくありません。

そこで、ジョイセフは、日本救援衣料センターというところと協力をして、
タンザニアに救援衣料を送っています。

この村にも、私たちが訪れたこの日、救援衣料が届けられました。
この衣料をもらえるのは、この村で何らかの理由で
両親を亡くしてしまった孤児たち。

社会の中だけでなく、家庭の中においても一番後回しにされるのは、
アナスタシアさんたちのような女性や子どもです。

この日、救援衣料は子どもたちに直接手渡されました。
そうやって一人一人、大勢の人がいる前で手渡さなければ、
子どもたちの手には渡らない可能性があるからです。

子どもは100人以上いますので、気が遠くなるような作業です。
でも、社会の中で後回しにされているような人たちに
支援がきちんと届かなければ意味がありません。

「ムワコンディア」

この村の部族が使う言語で「ありがとう」
そう言いながら、子どもたちは嬉しそうに衣料を受け取ります。

日本では、Tシャツひとつにしても、
何着もあるのが当然の世界。

シーズンが来るたびに、ついつい買ってしまうお洋服。
結局ほとんど着ることなく、タンスの肥やしになっていたり、
捨ててしまうものも少なくありません。

「豊かさ」って何なんでしょうねぇ。

◇   ◇   ◇




この村で出会った20歳の妊婦ノシさん。
クリニックが遠いため、自宅で出産する予定だそう。
ノシさんはこの時7か月。
無事にノシさんも赤ちゃんも生まれたのか、気になります。

3 件のコメント:

mother さんのコメント...

chicoさん、こんにちは。年末のお忙しい時期にありがとうございました!タンザニア、そうあのダーウィンの悪夢もタンザニアなのですね。今回のお話もとても胸が痛いです・・・。クリスマスプレゼントやサンタさんで盛り上がっている日本のこどもたちとはかけ離れた現状に言葉
が出ません。そんな厳しい生活の中で、家族への愛情やモノへの感謝や生きる希望など失っていないのでしょうか?そうだとしたら、わたしたちが同情する立場ではないのかも。でもとりあえず衣料の送り方教えてください!

chico さんのコメント...

motherさん、コメントどうもありがとうございます!

私がいわゆる「発展途上国」と呼ばれる国に行って、いつも印象深いのは、目のキラキラした子どもたちが沢山いるということです。そういう子を見ると、「目って本当に輝くんだ!日本でこういう目をした子どもって、あんまり見たことがないなぁ」と私なんかはいつも思います。

日本の子どもと比べたら、ずっと厳しい環境の中で生きている子どもたち。おもちゃどころか、食べるものもろくにありません。なのに彼らの目のキラキラ感はどこから来ているんでしょうか。いつも考えさせられます。

かと思えば、こんなに暗い表情は見たことがない…というような、暗い表情の子どもを見ることがあるのも悲しい事実です。

この村の中では、何かの作り話なのではないかと錯覚してしまうほど、家族がバタバタと亡くなっていっていました。それゆえになのか、あるいは他の理由かは分りませんが、非常に暗い目をしていた子どもも沢山いたのは確かです。

そんなとき、私には想像も出来ないほどの絶望があるのだと、重い現実を突きつけられたような気持にさせられます。。。

chico さんのコメント...

あっ、ちなみに衣料の送り方は、以下のURLに載っていますので、ご参照下さい。
http://www.jrcc.or.jp/howto.html